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2026.08.15
- 健康
ビタミンDを飲めば心臓は守れるのか?
~45本の臨床試験を集めた最新メタ解析が示した「本当のところ」~
みなさん、こんにちは。
大阪北摂地域、箕面船場にある、まにわクリニック院長の馬庭です。
「ビタミンDは体にいい」
そんな話を、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。実際、健康雑誌やインターネットでは「ビタミンDで心臓病予防」「ビタミンDでがん予防」といった言葉が並んでいます。
循環器を専門とする私自身もビタミンDサプリを服用していますし、患者様にも必要性のある方には食事やサプリメントでビタミンDを意識していただくことを説明しています。
そんななか、2026年に45本もの臨床試験をまとめた研究(メタ解析)が報告されました。今回はこの最新研究をもとに、ビタミンDと心臓・血管の関係について、専門医の立場から正直にお話ししたいと思います。
結論から申し上げると、全ての方がビタミンDの服用によって恩恵を受けれる訳ではありません。
目次
1.ビタミンDは「骨だけ」の栄養素ではない
2.最新メタ解析が示した数字
3.「差がある」と「役に立つ」は別の話
4.効果が見えたのは「足りていない人」
5. 私の考え
1. ビタミンDは「骨だけ」の栄養素ではない
ビタミンDというと「骨を丈夫にするビタミン」というイメージが強いのではないでしょうか。確かに、腸からのカルシウム吸収を助け、骨に材料を届ける働きは代表的なものです。
しかし近年の研究で、ビタミンDを受け取る「受け皿」(受容体)は骨だけでなく、全身のさまざまな細胞に存在することが分かってきました。免疫細胞では細菌やウイルスへの防御力に関わり、筋肉では筋力の維持を支えます。さらに膵臓ではインスリンの分泌に、血管では血圧の調節に関与している可能性が指摘されています。
実際に、ビタミンDが不足する方は、感染症が悪化しやすい、大腸がんや乳がん、白血病になりやすい、糖尿病になりやすい、などの疫学データが報告されています。
全身に関わる栄養素だからこそ、「では、心臓や血管にも良い影響があるのではないか?」という期待が、長年にわたって持たれてきたのです。
2. 最新メタ解析が示した数字
2026年に報告されたのが、成人を対象にビタミンD補充とプラセボ(偽薬)を比べた45本のランダム化比較試験をまとめたメタ解析です。14,051件の論文から厳選された、現時点でもっとも網羅的な整理といえます。
結果は次のとおりでした。
- LDLコレステロール:約5.3mg/dL 低下
- 収縮期血圧(上の血圧):約2.8mmHg 低下
- 空腹時血糖:約2.0mg/dL 低下
- HbA1c:0.16% 低下
いずれも統計的には「差あり」という判定です。数字だけを見れば「やはりビタミンDは効くのか」と思われるかもしれません。ですが、ここから先の読み方こそが大切になります。
3. 「差がある」と「役に立つ」は別の話
まず、効果の大きさを考えてみましょう。LDLコレステロールの5.3mg/dLという低下幅は、コレステロールの薬(スタチン)のもっとも弱い量の10分の1程度の効果です。栄養素を取るだけでLDLコレステロールが低下するので、取り入れる意味はあると思いますが、薬の代わりになるものではありません。血管や心臓の病気などで薬の服用が必要な場合、薬の代わりになるものではありません。
そして、もっと重要な点があります。これらはすべて「検査の数値」であって、「病気そのもの」ではないということです。
実際、数万人規模で行われた大規模試験を見てみると――VITAL試験(米国・25,871人・約5.3年)は心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントを減らせませんでした。ViDA試験(ニュージーランド・5,110人)も同様です。D-Health試験(豪州・21,315人)はわずかに減る傾向が見られましたが、統計的に有意とはいえない結果でした。
4. 効果が見えたのは「足りていない人」
では、ビタミンDは無意味なのでしょうか。決してそうではありません。
今回のメタ解析でとくに注目すべきなのは、血中ビタミンD濃度が20ng/mL未満、つまり「欠乏している人」に絞ると、血糖やHbA1cの改善がはっきり見えたという点です。前糖尿病の方を対象としたD2d試験でも、全体では有意差が出なかった一方、もともと濃度が低かった方で恩恵が大きい傾向が示されています。
このことは、他の栄養素に対する研究でも言えることです。
ビタミンDにしろEPA /DHAにしろ、食事などで充足している方に、さらにサプリで補っても効果は得られません。サプリが必要な人は、その栄養素が不足している人、栄養素が持っている薬理学的な効果を必要とする人です。
実際に私自身がビタミンDをサプリとして取り入れる理由は
1:仕事の移動以外ほとんど日に当たる機会がない
2:新鮮な魚を毎日食べる機会が得にくい
3:サプリを取り入れる前の血中濃度が低かった
4:元々血糖値の乱高下があり、腸内環境も良くなかった
などがあるからです。
5. 私の考え
ここで問題になるのが、日本人の多くはビタミンDが足りていないと指摘されている、という事実です。様々な疫学調査が我が国でも実施されていますが、概ね9割の方が、ビタミンDが不足、もしくは欠乏していると報告されています。
実際にまにわクリニックでもビタミンDの血中濃度を測定していますが、ビタミンDが充足している方は、サプリメントを服用している、もしくは畑仕事などで日中外での作業が多い方くらいで、多くの方は不足/欠乏しています。
ビタミンD不足と関連があるのが、屋内で過ごす時間の長さ、日焼け止めや日傘の習慣、魚を食べる量の減少、そして高緯度ゆえの冬の日照不足。思い当たる方は多いのではないでしょうか。
しかも厄介なことに、ビタミンDが足りているかどうかは、自覚症状からは分かりません。血液検査で「25(OH)D」という項目を測って、はじめて分かるものです。
ですから私がおすすめしたいのは、「まず測る」ことです。その上で不足があれば、質の確かなサプリメントで過不足なく補う。これがもっとも理にかなった付き合い方だと考えています。
人は「千差万別」です。不足している栄養素も、障害されている部位も人それぞれです。
近所のあの人が、有名人が勧めるから
だけでは意味をなしません。
大切なのは、あなたに何が足りないのか、です。
そして、サプリメントを選ぶ際には「質」にもこだわっていただきたいと思います。
- 必要な量がきちんと入っている
- 不要な添加物ができるだけ除かれている
- 吸収を高める工夫がなされている
- 第三者機関による品質チェックを受けている
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ひとつご注意を 今回お話ししたのは、サプリメントとして用いられる「天然型ビタミンD」の話です。骨粗鬆症の治療に使われるアルファカルシドールやエルデカルシトールなどの「活性型ビタミンD製剤」は、薬としての性質も安全域も異なります。 |
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まにわクリニックでできること ● 血中ビタミンD(25(OH)D)の測定 採血で今の充足度を数値として確認します。保険適用が限られる項目のため、自費検査でのご案内となります。 ● 栄養療法外来・サプリメント外来 測定した数値を、食事内容・生活習慣・他の血液検査とあわせて読み解き、あなたに必要な量をご提案します。当院では品質基準を満たしたサプリメントもお取り扱いしています。 ● 無料相談も行っています 「こんな症状で悩んでいるが、どこを受診すればいいのかわからない」「気になるが、いまいち踏み切れない」などあれば、どうぞお気軽にご相談ください。 |
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
1) Abumweis S, et al. Effects of vitamin D supplementation on cardiometabolic risk factors: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Asia Pac J Clin Nutr. 2026;35(4):631-643. doi:10.6133/apjcn.202608_35(4).0007
2) Manson JE, et al. Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2019;380(1):33-44. doi:10.1056/NEJMoa1809944(VITAL試験)
3) Thompson B, et al. Vitamin D supplementation and major cardiovascular events: D-Health randomised controlled trial. BMJ. 2023;381:e075230. doi:10.1136/bmj-2023-075230(D-Health試験)
4) Scragg R, et al. Effect of Monthly High-Dose Vitamin D Supplementation on Cardiovascular Disease in the Vitamin D Assessment Study: A Randomized Clinical Trial. JAMA Cardiol. 2017;2(6):608-616. doi:10.1001/jamacardio.2017.0175(ViDA試験)
5) Pittas AG, et al. Vitamin D Supplementation and Prevention of Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2019;381(6):520-530. doi:10.1056/NEJMoa1900906(D2d試験)





