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2025.10.18

  • 健康

【医師監修】大腸がんの標準治療と併用したい「栄養素」の力。高濃度ビタミンC点滴の科学的根拠に迫る

みなさん、こんにちは。

まにわクリニック院長の馬庭です。

もしあなたやご家族が大腸癌と診断されたら

「これからの治療、本当にこのままで良いのだろうか…」

「標準治療の効果を、さらに高める方法はないだろうか?」

など、多くの方がこのように自問し、最善の道を模索されるのではないでしょうか。

手術、抗がん剤、放射線といった標準治療は、がん治療の根幹をなす重要なものです。
しかし同時に、副作用への不安や、治療中のQOL(生活の質)の維持、そして「何か他にできることはないか」という切実な思いを抱えていらっしゃる方も少なくありません。

もし、標準治療をサポートし、その効果を補強する可能性のある「栄養素」を活用したアプローチがあるとしたら、どうでしょうか。
近年、がん治療の分野で注目を集めているのが「高濃度ビタミンC点滴療法」です。これは、サプリメントや食事から摂取する量の数十倍以上ものビタミンCを、直接血管に投与する治療法です。

今回は、大腸がんの補助療法として注目される高濃度ビタミンC点滴について、その科学的な背景から期待される役割、具体的な進め方、注意点まで、最新の研究データや文献を交えながら、専門家の視点で分かりやすく解説します。

1. なぜ今、大腸がん治療に「補助療法」が求められるのか

1-1. 大腸がん治療の現在地:標準治療の重要性と限界

大腸がんの治療は、外科的な手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療などを組み合わせた「標準治療」が基本となります。これらは長年の研究と臨床試験によって有効性が確立されており、多くの患者さんの命を救ってきました。まず、この標準治療を主治医としっかり相談しながら進めることが、治療の第一歩であることは間違いありません。

しかし、進行した大腸がんにおいては、標準治療だけでは十分な効果が得られないケースや、残念ながら再発に至るケースも存在します。また、治療に伴う副作用が、患者さんの体力や気力を奪ってしまうことも少なくありません。副作用や体力の低下によって標準治療の継続が困難になる場合も多く存在します。

1-2. QOL(生活の質)の維持という新たな視点

かつてのがん治療は、がんを叩くこと自体が最優先でした。しかし近年では、治療中や治療後の「QOL(Quality of Life:生活の質)」をいかに維持・向上させるか、という視点が非常に重要視されています。

治療による痛みや倦怠感、食欲不振といった身体的な苦痛を和らげ、精神的な安定を保ちながら、自分らしい生活を送る。そのために、標準治療を補完する「補助療法」の役割がクローズアップされているのです。

1-3. 注目される「栄養素」によるアプローチ

補助療法には様々な種類がありますが、その中でも特に研究が進んでいるのが、私たちの身体に本来備わっている機能をサポートする「栄養素」を用いたアプローチです。適切な栄養素を適切な方法で補うことで、身体のコンディションを整え、がん治療に対する抵抗力を高めることが期待されます。

この記事でご紹介する「高濃度ビタミンC点滴」は、まさにその栄養素アプローチの代表格と言えるでしょう。

2. 「高濃度ビタミンC点滴」とは?経口摂取との決定的な違い

2-1. ビタミンCの基本的な働きをおさらい

ビタミンC(アスコルビン酸)と聞くと、「美容に良い」「風邪予防」といったイメージをお持ちの方が多いかもしれません。実際に、ビタミンCは抗酸化作用、コラーゲンの生成、免疫機能の維持など、私たちの健康に不可欠な栄養素です。

2-2. 「点滴」でなければならない理由:血中濃度の壁

では、なぜわざわざ「点滴」で投与する必要があるのでしょうか。その理由は、経口摂取(サプリメントや食事)では、決して到達できない「血中濃度」の領域にあります。

私たちの身体には、口から摂取したビタミンCの吸収率を調整する仕組みがあります。そのため、一度に大量に摂取しても、血中に取り込まれる量はすぐに頭打ちになり、がん治療に必要な血中濃度まで上昇させることができません。
一方、点滴で直接静脈に投与することで、この吸収の壁をバイパスし、経口摂取の数十倍から数百倍という高濃度のビタミンCを、全身の細胞に行き渡らせることが可能になるのです。

2-3. サプリメントとの違いは「薬理効果」

この血中濃度の劇的な違いが、ビタミンCの役割を「栄養素」から「薬理効果(薬のような働き)」を持つレベルへと変化させます。つまり、高濃度ビタミンC点滴は、単なる栄養補給ではなく、がん細胞に対して特異的な作用を期待する「治療」として位置づけられているのです。

3.【科学的根拠】なぜ高濃度ビタミンCが大腸がんにアプローチするのか

高濃度ビタミンC点滴が、なぜ大腸がんの補助療法として期待されているのか。その背景には、いくつかの科学的な研究によって示唆されている作用機序があります。

3-1. がん細胞を選択的に攻撃する?「過酸化水素」の発生

高濃度のビタミンCは、がん細胞の周囲で鉄などの金属イオンと反応し、強力な酸化作用を持つ「過酸化水素(H₂O₂)」を大量に発生させます。正常な細胞は、過酸化水素を中和するカタラーゼという酵素を十分に持っているため、ほとんどダメージを受けません。

しかし、多くのがん細胞はこのカタラーゼが欠乏しているため、過酸化水素によって酸化ストレスにさらされ、細胞死に至る可能性があると考えられています[1]。これは、正常細胞を傷つけることなく、がん細胞を選択的に攻撃できる可能性を示唆しています。

3-2. 抗がん剤治療をサポートする可能性

一部の研究では、高濃度ビタミンCが特定の抗がん剤の効果を高めたり、副作用を軽減したりする可能性が報告されています[2]。大腸がん治療で用いられる抗がん剤と併用することで、相乗効果が生まれるのではないかと期待され、現在も研究が続けられています。

3-3. 免疫力のサポートと炎症の抑制

がんと闘う上で、自身の免疫力が非常に重要であることは言うまでもありません。ビタミンCは、免疫細胞であるリンパ球の働きを活性化させることが知られています。また、がん組織の周辺で起きている慢性的な炎症を抑える作用も報告されており、身体ががんと闘うための環境を整える手助けをします。

3-4. コラーゲン生成促進によるがんの進展抑制

ビタミンCは、細胞と細胞をつなぐ結合組織であるコラーゲンの生成に必須の栄養素です。がん細胞は、コラゲナーゼという酵素を出して正常組織のコラーゲンを破壊し、浸潤や転移を起こします。ビタミンCがコラーゲンの生成を促し、組織のバリア機能を強化することで、がんの進展を抑制するのではないか、という仮説も提唱されています。

4. 高濃度ビタミンC点滴治療の実際と注意点

4-1. 治療はどのように進めるのか?頻度と期間の目安

高濃度ビタミンC点滴は、まず少量から開始し忍容性(身体が耐えられるか)を確認しながら、徐々にビタミンCの投与量を増やしていくのが一般的です。

治療のプロトコルは個人の状態や目的によって異なりますが、がん治療の補助としては、週に1〜3回程度の頻度で、1回の点滴時間は1時間〜2時間ほどかけて行われます。治療期間は、患者さんの病状や治療への反応を見ながら、医師と相談の上で決定されます。

4-2. 副作用やリスクは?事前に必要な検査

高濃度ビタミンC点滴は、比較的安全性の高い治療法とされていますが、いくつかの注意点と副作用の可能性があります。軽いものでは、点滴時の血管痛、口の渇き、頭痛などが報告されています。

重篤な副作用は稀ですが、安全に治療を行うために、G6PD欠損症という遺伝的な酵素欠損がないかを事前に血液検査で必ず確認する必要があります。この酵素が欠乏している方が高濃度のビタミンC点滴を受けると、溶血(赤血球が破壊される)を引き起こす危険があるためです。また、腎機能が著しく低下している方や、心不全のある方も、この治療が適さない場合があります。

4-3. 自由診療としての位置づけと費用の目安

高濃度ビタミンC点滴療法は、現在日本の公的医療保険が適用されない「自由診療」となります。そのため、費用は全額自己負担です。

費用はクリニックやビタミンCの投与量によって異なりますが、1回の点滴あたり1万5千円〜3万円程度が目安となります。

当院では以下の金額で提供しております(2025年10月現在)

5. よくあるご質問(Q&A)

Q1. この治療だけでがんは治りますか?

A1. いいえ。高濃度ビタミンC点滴は、あくまで大腸がんの標準治療(手術、抗がん剤、放射線治療など)と並行して行う「補助療法」です。この治療法単独でがんを根治させるというエビデンスは、現時点では確立されていません。標準治療の効果を高めたり、副作用を軽減したり、QOLを向上させることを主な目的とします。必ず標準治療の主治医と相談の上で検討してください。

Q2. どんな人でも受けられますか?

A2. 先述の通り、G6PD欠損症の方、重度の腎不全や心不全、透析中の方は受けることができません。治療を開始する前には、必ず専門のクリニックで詳細なカウンセリングと必要な検査を受ける必要があります。

Q3. 治療中は食事でビタミンCを摂らなくても良いですか?

A3. いいえ、食事は治療の基本です。点滴はあくまで特殊な状況下で血中濃度を上げるためのものであり、日々の食事からビタミンCをはじめとする様々な栄養素をバランス良く摂取することが、身体の基本コンディションを整える上で非常に重要です。

6. まとめ:未来の治療のために、今できる情報収集を

大腸がん治療における補助療法としての高濃度ビタミンC点滴は、標準治療の効果を補強し、患者さんのQOLを向上させる可能性を秘めた、注目すべき選択肢の一つです。

その作用機序には、過酸化水素によるがん細胞へのアプローチや、免疫サポートなど、科学的な研究が進められている背景があります。しかし、決して「夢の治療法」ではなく、標準治療に取って代わるものではないこと、そして自由診療であることなど、正しい知識を持って向き合うことが不可欠です。

最も大切なことは、ご自身やご家族が納得のいく治療を選択することです。そのためには、信頼できる情報源から学び、専門家と十分にコミュニケーションを取ることが欠かせません。

この記事が、あなたの「何か他にできることはないか」という切実な思いに応え、次の一歩を踏み出すための羅針盤となれば、これほど嬉しいことはありません。

【引用文献】

[1] Chen, Q. et al. (2005). Pharmacologic ascorbic acid concentrations selectively kill cancer cells: action as a pro-drug to deliver hydrogen peroxide to tissues. Proceedings of the National Academy of Sciences, 102(38), 13604-13609.
[2] Ma, Y. et al. (2014). High-dose parenteral ascorbate enhanced chemosensitivity of ovarian cancer and reduced toxicity of chemotherapy. Science translational medicine, 6(222), 222ra18.

この記事を読んで、高濃度ビタミンC点滴療法についてさらに詳しく知りたい、ご自身のケースではどうなのか相談してみたいと思われた方は、ぜひ一度、当クリニックの点滴療法外来をご利用ください。

なぜなら、この治療法は、全ての方に適しているわけではなく、あなたの現在のがんの進行度、行っている標準治療の内容、そして全身の状態を総合的に判断し、最適な形で導入を検討する必要があるからです。

まにわクリニックでは、栄養療法を専門とする医師が、最新の知見に基づき、あなたのお悩みや疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。

今抱えている不安を、未来への希望に変えるために。まずは、専門家への相談から始めてみませんか?

当院では無料の相談も行っております。お気軽にご相談ください

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