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2025.06.03
- 健康
マグネシウムが心不全を予防する!?
みなさん、こんにちは。
まにわクリニック院長の馬庭です。
高齢化社会に伴い、心不全による死亡者数は近年増加傾向にあります。
2022年の心疾患による年間死亡者数は約23万人と報告されています。
また、2030年には心不全をもつ患者数は130万人(日本人の10人に一人!!)に達すると推計されています。
今は大丈夫と思っていても決して他人事ではありません。
今回は最近発表されたマグネシウム補充と心不全の関係について解説します。
1. マグネシウムの重要性
マグネシウムは体内で300種類以上の酵素反応に関与する必須ミネラルであり、健康維持において極めて重要な役割を果たしています。
マグネシウムの体内での働きを見ていきましょう。
● 体内のエネルギー産生に必須
まず、マグネシウムはエネルギー産生に不可欠なミネラルです。
カラダの中では、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内小器官でエネルギーが作られています。このエネルギーの基になるのがATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質です。ATPはマグネシウムと結合することで活性型となり、細胞活動に利用されます。
● 神経や筋肉の興奮にも関与
マグネシウムは神経伝達や筋収縮、心筋の興奮伝導にも関与しています。
カルシウムが神経を興奮させ神経伝達を起こしたり、筋肉の収縮を起こします。
一方マグネシウムは神経の興奮を収めたり、筋肉をリラックスさせる働きがあります。
つまり、不足すると筋肉のけいれんしたり、心臓の電気的な信号に狂いが生じ、不整脈が生じやすくなります。
● 血糖の調節にも関与
さらに、マグネシウムはインスリン感受性を高め(血糖を低下させるホルモンの働きを高め)、糖代謝を正常化する働きがあるため、2型糖尿病の予防や管理にも有効とされています。
実際、マグネシウム摂取量が多い人ほど糖尿病リスクが低下するという疫学研究も存在します。
● 骨にも重要
マグネシウムは骨の健康にも寄与しており、カルシウムとともに骨形成に関与するため、骨粗鬆症予防にも重要です。
現代人は加工食品の摂取増加やストレスなどの影響で慢性的なマグネシウム不足に陥りやすく、日常的な摂取が求められます。ナッツ類、葉野菜、全粒穀物、豆類などを意識して取り入れることで、健康維持や慢性疾患予防に役立つといえます。
2. マグネシウムが心不全のリスクを低減する!?
では、マグネシウムを補充することで、心不全予防につながるのでしょうか?
長年この点が不明でしたが、最近その答えに迫る研究結果が報告されました(J Am Heart Assoc 2025.14:e038870.)。
この研究では2006年から2020年の間にアメリカの退役軍人医療システムで外来診療を受けた40歳以上の糖尿病を有する患者様が対象になっています。
条件としてこれまで心不全の既往がないこと、マグネシウムサプリメントの使用歴がない患者様となっています。
94,239名の患者様が対象となり、その後マグネシウムサプリメントを使用した方が17,619名、非使用者が76,620名となりました。
患者様の背景を逆確率治療加重法と呼ばれる統計手法を用いてバランスの取れた集団に調整されています。
平均年齢は67.4歳、18.4%が黒人、5.1%が女性でした。
マグネシウムサプリメントの平均試用期間は3.5±3.1年でした。
結論としては、
マグネシウムサプリメントを使用した患者様が新しく心不全を発症する確率が8.0%、非使用者では9.7%であり、心不全発症のリスクを6%低下させる結果となりました。
6%と言われると、「たいしたことない」と思われるかもしれませんが、必要な栄養素を補充するだけでリスクがさがるのは非常に意味のあることではないでしょうか
3. マグネシウムの充足具合は血液検査ではダメ!?
上記の内容を読まれて、「自分はマグネシウム足りてるのかな?」と不安に思われた方もいるのではないでしょうか。
マグネシウムを血液検査で測定する場合があります。
でも、血液検査でマグネシウムを測定しても、体内で充足しているか、不足しているかはわかりません。
血液検査ではダメなんです。
なぜか?
それはマグネシウムの体内での分布を見てみると明らかになります。
体内のマグネシウムの分布を血液中が「1」とすると、細胞の中は「10000」の比率となります。
つまり、血液中のマグネシウムの量は細胞の中の量と比較するとごくわずかなんです。
なので血液中のマグネシウムの濃度が維持されていても、本当に充足しているかはわかりません。
4. 私の考え
では、どうやったらマグネシウムの充足度がわかるのでしょうか?
私がおすすめしたいのは「オリゴスキャン」と呼ばれるミネラル測定検査です。
この検査では、血液ではなかなかわからない必須ミネラルの過不足具合が評価できます。
さらに、カラダに(特に心臓に)悪影響を及ぼす有害重金属の蓄積具合も評価できます。
検査は簡単で1分程度で結果がでます。血液検査とは異なり痛みは全くありません。
保険外の診療になるため自費診療にはなりますが、己を知る意味でも一度やってみる価値は十分にあります。
そして、もしマグネシウムの不足が認められた場合、マグネシウムの補給を行っていただきたいです。
いかがでしたでしょうか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
まにわクリニックでは、血液検査やさまざまなバイオロジカル検査を用いてあなたの状態をチェックし、栄養サポート、サプリメントのご提案などを行っております。気になるかたは一度ご相談ください。
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