Blog Detail
健康ブログ詳細
2023.11.08
- 健康
心臓病をお持ちの方必見!有害重金属の影響
みなさん、こんにちは。まにわクリニック院長の馬庭です。
みなさまの中には心臓の病気を有している方、家族に心臓病をお持ちの方がいて将来自分のことが心配な方も多いのではないでしょうか。
心臓の機能が低下してしまう心臓病ですが、原因はさまざまです。
その中であまり知られていない原因として金属(有害重金属も含めて)が挙げられます。
今回は、そんな金属と心臓病の関係について解説します。
1. 心臓病とは
心臓は1日に約10万回拍動し、血液を吸い上げては全身に送り込んでいる臓器です。
何らかの原因で心臓にトラブルが発生すると、血液を全身に送り出す力が低下し「心不全」と呼ばれる状態になります。
このように心臓にトラブルが起きた状態の総称を心臓病(心疾患)と呼んでいます。
心臓病のせいで心不全に至ると、血液成分は心臓の手前に溜まりやすくなります。
その1つが「肺」です。
肺がむくむため
● 息切れ
● 寝ている時に呼吸が苦しくなる
● 息切れで夜中目覚める
● 倦怠感
● 咳、痰
などの症状を呈することにないます。
また、手足などの血液成分が心臓に返りにくくなるため
● 手足がむくむ
● お腹がふくれる
● 食欲がわかない
などの症状も出現してきます。
2017年の厚生労働省の調査では、我が国に約173万人の心疾患患者が存在していることが報告されています。
決して珍しい病気ではありません。
また、今後高齢化に伴い、心臓病を有する患者様は増加の一途をたどることが予想されております。
一度なってしまうと、一気に飲み薬が増え、QOLも低下してしまいます。
ならないための努力が必要であると考えられます。
2. 心臓病の人の心臓で起こっていること
では、心臓病を有する人の心臓の内部ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
心不全になってしまう場合、その原因としては、
● 心臓の筋肉そのものに問題がある
● 心臓の周辺の構造物や臓器に問題がある
に大別されます。
今回は心臓の筋肉そのものに問題がある場合について述べたいと思います。
何も原因がなくて、突然心臓の筋肉が障害されることはありません。
多くの場合、心筋細胞(心臓の筋肉細胞)に酸化ストレスが過剰に加わり、障害が始まります。
酸化ストレスが過剰に加わると、
① 心筋細胞で炎症が発生
② ミトコンドリアが障害され、エネルギーの通貨であるATPの産生が低下
が生じてしまい、心筋細胞の損傷→心機能低下→心臓病へと発展していきます。
酸化ストレスが急激に起こった場合、心臓は大きくなり、収縮力(心臓が縮んで血液を前に送り出す力)が低下します。
一方、そこまで強くない酸化ストレスが慢性的にかかった場合、心筋細胞はそのようなストレスに適応するために筋肥大を起こします。肥大はしますが、心臓の大きさは変わりません。
筋肉が肥大するならいいじゃないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、心筋が肥大した場合、しなやかさが失われ硬くなっていきます。
心臓は硬くなると十分に血液を吸引することができず、結果として前に送り出す血液量も減ってしまいます。
つまり、心肥大でも心不全になってしまうのです。
今の日本では心不全を有する方の約半数は心臓が硬くなった結果生じていると報告されています。
3. まずチェックすることとは
年齢にもよりますが、まずチェックすべきことは、心臓に栄養を送っている「冠動脈」に異常がないかどうかです。
冠動脈が狭くなると「狭心症」
完全に詰まってしまい、心筋細胞が壊死してしまうと「心筋梗塞」
と呼ばれる病気になります。
まずは冠動脈にトラブルがあり、心筋細胞に栄養を十分に行き渡らせることができない状態がないかを調べる必要があります。
チェックの仕方としては、造影剤を使用した心臓CTや、核医学検査を用いた心筋血流シンチグラフィーなどがあります。
これらの検査は比較的大きな病院でなければ施行できません。
4. 心臓と金属の関係
心臓にダメージ・酸化ストレスを与える要因は多数ありますが、その1つが有害メタルを含む金属です。
代表的な金属としては
● 鉛
● 銅
● 鉄
● 水銀
● アルミニウム
● カドミウム
● 金・銀
などが挙げられます。
鉛ー
慢性鉛中毒の3歳の少女が急性心不全を発症し、4日間に渡り鉛を除去する治療を行うことで改善したことが報告されています。
また、動物実験でも鉛の暴露によって心臓や血管に炎症を生じさせ、心疾患や動脈硬化を起こすことが報告されています。
銅ー
銅は体内に必須のミネラルですが、容易に過剰になってしまいます。銅過剰をきたすウィルソン病と呼ばれる病気を持っている患者様では、銅の過剰具合と肥大型心筋症(心臓が病的に肥大してしまう病気)に関連があることが報告されています(Biochemical Pharmacology 2015;97:62-76.)。また、心肥大を認める患者様に銅を除去する治療を行うことで心機能が改善したことが報告されています(Open Heart 2022;9:e001803.)。
特に糖尿病を有する患者様の場合、銅の過剰は様々な臓器障害の誘引になっていることが報告されています(Hemoglobin 2008;32:135-145.)。
鉄ー
鉄も体内には必須のミネラルですが、やはり過剰に注意が必要なミネラルでもあります。
動物実験でも鉄の過剰は酸化ストレスを過剰に発生させ、心筋細胞を障害することがわかっています。
体内に鉄が過剰になってしまう「ヘモクロマトーシス」という病気の患者様ではよく心臓病を合併することが知られています。
重度の鉄過剰の結果心筋障害を引き起こしてしまうと、未治療の場合平均予後は1年と言われています。
水銀ー
特発性拡張型心筋症(心臓の収縮する力が障害されてしまう原因不明の心臓病)と正常な心臓の細胞診を比較した研究によると、拡張型心筋症を有する心臓には通常の22,000倍の水銀が蓄積していたことが報告されています(JACC 1999;33:1578-83)。
蓄積しているのは水銀のみならず、鉛やアンチモン、銅なども多かったことも同時に報告されています。
拡張型心筋症は原因不明なものが多いですが、心筋細胞診を行った症例の解析では25%にウイルス感染の痕や持続するウイルス感染を認めていると報告されています(Congestive Heart Failure 2007;13:193-199)。そして拡張型心筋症の最大80%の症例で何らかの心筋に対する自己抗体を有しているということも報告されています(Eur J Heart Fail 2002;4:411-7)。自己抗体は何らかの感染症をきっかけとして誘導されるのではないかと考えられています。このようなウイルス感染が心臓におよぶと、水銀を含めた有害な重金属が心臓の蓄積されやすくなるのではないかと予測されています。
また、水銀が蓄積すると、心筋内のセレンの濃度を低下させることが報告されています。セレンは抗酸化物質として働いたり、水銀を無毒化するために働いていることが報告されている重要なミネラルです。水銀などの蓄積によってセレンの濃度が低下し、それがさらに水銀の毒性を高めている可能性が考えられます。
アルミニウムー
殺虫剤の成分に含まれるリン酸アルミニウムは、可逆性ではありますが心筋細胞に蓄積し、心臓を障害することが報告されています(Methodist DeBakey Cardiovascular Journal 2021;17:6-12. Clinical Toxicology 2007;45:728-731. Journal of the Saudi Heart Association 2014;26:216-221)
カドミウムー
拡張型心筋症の患者様では、健常人に比べて血中、尿中のカドミウム濃度が有意に高いことが報告されています(Weiner Klinische Wochenschrift 1985;97:697-701)。
また、尿中のカドミウムが高いと、2倍近く心筋梗塞を発症しやすいことも報告されています(Environ Res 2008;106:284-6)
5. 金属を除去するキレーション療法
重金属の影響を受けている場合、どうしたら良いのでしょうか。
まにわクリニックではキレーション点滴療法を行っています。
日本ではまだまだ知られていない治療法ですが、アメリカ合衆国では50年以上前から行われている治療法です。
詳しくはキレーション療法のブログをご覧いただければと思いますが、有害な金属を点滴を使用して除去する治療です。
治療には準備やサプリメントの併用が必要ですが、効果が期待できる方法ではないかと考えています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
まにわクリニックではデトックス、血管アンチエイジング目的でキレーション点滴療法を行っています。そのほかにも、血液検査やバイオロジカル検査を用いて、患者様の状態を詳しく把握し、個々にあった治療、アドバイスを行っています。
無料相談も行っております。ご興味のあるかたは、ぜひ栄養外来、点滴療法外来にご来院いただければと思います。