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2023.10.28
- 健康
腸のカンジダが免疫を狂わす!?
みなさん、こんにちは。
まにわクリニック院長の馬庭です。
医学界でも、世間一般でも腸に注目が集まっています。
今回は、新型コロナウイルスに罹患した患者さんのうち、腸のカンジダが免疫を狂わし、重症化させるのではないか
という論文について解説、考えを述べたいと思います。
1. 腸のカンジダとは
腸内細菌叢とは、私たちの腸(小腸や大腸で、主には大腸)に住み着いている細菌の群です。
様々な種類の菌が生息しており、その数は100〜1000兆個とも言われています。
私たちのカラダを構成している細胞数が35億個程度と言われていますから、いかにたくさんの菌が腸に住み着いているかがわかります。
善玉の腸内細菌は私たちに影響を供給してくれたり、神経伝達物質を介して脳の機能を調節したり、免疫の機能を調節してくれたりしています。
2. 腸のカンジダとは
カンジダとは、真菌の一種で主に酵母菌として知られています。
女性の場合膣カンジダなどでお悩みの方も多いと思いますが、健康な成人の40~60%が腸にカンジダを保有していると報告されています(Oxford: Oxford University Press. pp. 446, 447. Current Gastroenterology Reports. 17 (4): 16.)。
通常カンジダは酵母の形で腸内に存在しています。
腸内環境が悪化すると形態が変化していき、菌糸状に形を変え悪性化してしまいます。
すると、下の画像のように腸上皮を貫通し、腸はリーキーガット(腸漏れ)と呼ばれる状態に陥ってしまいます。
通常異物が混入しないように腸上皮が守ってくれているのですが、リーキーガットになると、異物が混入し様々な弊害を起こすようになっていきます。
3. 重症新型コロナ患者では腸でカンジダが大暴れ!?
10月23日付けのNature Immunologyと呼ばれる医学雑誌に興味深い研究結果が発表されました。
重症の新型コロナ患者では、血液中にカンジダの免疫グロブリン抗体(IgG)が上昇しているというものです。
本来腸管に存在するはずのカンジダの抗体が血液中に認められるということは、腸がリーキーガットの状態となり、カンジダ菌が体内に侵入していることを意味しています。
カンジダが侵入してくることで、炎症をさらに強くし、コロナを重症化させている可能性が考えられています。
マウスの実験で、カンジダ菌を注入したマウスとそうでないマウスを比較した場合、カンジダ菌を注入されたマウスでは、コロナウイルス罹患後に肺に強い炎症を認めています。そのマウスに抗真菌薬(カンジダをやっつける抗生剤)を投与すると、炎症反応が軽減したそうです。
別の報告でも、健常者に比べて新型コロナウイルスに罹患した患者様では、4倍も血液中のカンジダ抗体が検出されたことがわかっています。
便を調べた研究でも、健常者に比べて新型コロナウイルスに罹患した患者様では、腸内にカンジダが多く増殖しており、カンジダ菌が増えると新型コロナ感染症の重症度も増加していることが報告されています(Nature 23,Oct)。
4. コロナ後遺症にもカンジダが影響?
また、重症の新型コロナウイルス感染患者では、カンジダ菌の抗体が1年に渡って高止まりしていることが報告されています。
重症の方ではコロナ後遺症の発生率が高いことが報告されており、症状が長引いてしまう1つの要因にカンジダの影響が示唆されています。
コロナが腸を狂わすのか、腸が乱れてカンジダが増加しているからコロナが重症化したり、後遺症が続くのかはわかっていませんが、カンジダの影響は無視できないと考えられます。
5. カンジダは検出が難しい
ならば、コロナ罹患したあとの重症度の予測や、後遺症で悩まれている患者様の原因精査にカンジダ菌も加えたらいいのではないかと思われるかたも多いのではないかと思います。
しかし、それが難しいのです。
カンジダの抗体が血液中に検出されるのは、重症な方が多いです。つまり、よほど重症にならなければなかなか検査で陽性になりません。
コロナ感染自体は軽症だったけど、後遺症に悩まれている方などにカンジダの血液検査を行っても陽性にならない方が多数であることが予想されます。
しかし、コロナによって悩まれている方は多数存在します。そしてそのような方の腸内環境が悪化しているのは事実と考えます。
6. 私なりの考察
ではどうしたらよいのでしょうか?
正直保険診療の検査でカンジダの影響を見ることは困難であると考えています。
そこでご提案したいのが、自費で行う尿有機酸検査や便検査です。
尿から得られる有機酸検査では、カンジダがだすたくさんの毒素の代謝物を検出することができます。
便検査では、最新のPCR技術を用いて、微量なカンジダの遺伝子を検出することができます。
このような検査を取り入れることで、コロナ後遺症の原因を探ったり、コロナに罹患しても重症化しないカラダを作ることが重要ではないかと考えています。
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
箕面・船場・千里中央・吹田・豊中にある まにわクリニックでは、血液検査のみならず、さまざまな検査を用いて栄養状態や腸内環境を解析し、栄養サポートを行っております。
自分の腸内環境が心配だ、治療に興味のある方、実際に治療を受けてみたい方など、お気軽にご連絡ください。