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2023.10.12
- 健康
アメリカのコロナ後遺症の現状について思うこと
2019年末から世界を震撼させた新型コロナウイルスのパンデミックが起こって早くも4年が経ちました。
ワクチン接種やウイルスの弱体化などによって重症化する方々は減少していることが報告されていますが、新型コロナウイルス感染に罹患する方はまだまだ多い状況です。
そのような中、懸念されるのがコロナ後遺症です。
日本でも10〜30%程度の方が後遺症で悩まれているとのデータが以前から報告されています(新型コロナウイルス感染症診療の手引き 罹患後症状のマネジメント 第2.0版
)。
2023年9月にアメリカ合衆国のCDCからコロナ後遺症の罹患状況について2022年のレポートが発表されましたので、ご紹介します。
1. 新型コロナ感染症後遺症とは?
新型コロナウイルスにかかった後に後遺症で悩まれている方のことをニュースなどでお知りの方もいるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスに感染すると、10人に1~3人が後遺症で悩まされていると報告されています。
後遺症の定義にはさまざまなものがあり、まだ定まったものはありませんが、一般的には新型コロナ感染症の発症から4~12週経過しても症状が続く場合や新しい症状がでてくる状態のことを「コロナ後遺症」と呼ばれています。
4週以上とされている理由は、ウイルスは4週以降は検出されないと報告されているためです。
Nature Med 2021;27:601-15より作図
2. 新型コロナ感染症後遺症にはどのような症状があるの
では、コロナ後遺症にはどのような症状があるのでしょうか。世界各国で報告されているデータをまとめたメタ解析によると、
● 倦怠感 58%
● 頭痛 44%
● 注意障害 27%
● 脱毛 25%
● 呼吸困難 24%
● 味覚障害 23%
● 睡眠障害 21%
● 咳 19%
など、多岐にわたっています。
それ以外にも関連があるとされる症状を一覧でまとめてみました。
3. アメリカの2022年のコロナ後遺症の状況
では、今回の本題です。2023年9月にCDCからアメリカの2022年のコロナ後遺症の状況が報告されています(Long COVID in Adults:US 2022.NCHS Data Brief No. 480, September 2023)。
コロナ後遺症(Long COVID)の定義としては、新型コロナウイルスに罹患してから3ヶ月以上にわたって症状が持続しているとされています。
これまでにコロナ後遺症を経験した人は6.9%、調査時にまさにコロナ後遺症を持っている人が3.4%いたことが報告されました。
Long COVID in Adults:US 2022.NCHS Data Brief No. 480, September 2023
特徴としては、男性よりも女性の方が倍ちかくコロナ後遺症になりやすいということです。
さらに下の図でわかることは、ご高齢の方よりも35〜64歳の働き世代に多いことが報告されています。
新型コロナの重症化ではご高齢の方にリスクがありましたが、コロナ後遺症という観点では若年や中年の方にリスクがありそうです。
4. なぜ後遺症がおこるのか?
では、なぜ後遺症をおこしてしまうのでしょうか。
諸説ありますが、以下にあげるようなことが原因ではないかと考えています。
● 肺、上気道、心臓、腎臓などへのウイルス持続感染、障害
● 治療薬の副作用
● 感染後の免疫力低下による炎症の持続(慢性炎症)
● 血液凝固が亢進し、血栓症による影響
● レニン・アンジオテンシン系の障害
● 栄養失調
● ミトコンドリア機能障害
● 脳幹の機能障害
小数例の報告ではありますが、新型コロナウイルス感染4~7ヶ月後も腸や咽頭(喉の奥)にコロナウイルスのRNAが検出され、そこでは炎症が持続的に生じていることが述べられています。
炎症は外敵を排除したり、壊れた組織を再生するためには必要な生体内の反応ですが、いつまで経っても炎症が治まらないと、正常な組織や細胞がどんどんと壊されてしまいます。
いま、炎症はさまざまな病気の原因、老化の原因であると報告されており、コロナ感染後に慢性的な炎症が続くことが、コロナ後遺症を発症してしまう一因ではないかと考えられます。
また、コロナウイルスの感染によってミトコンドリアの機能が障害されてしまうことも挙げられます。
ミトコンドリアはエネルギーの生産工場です。つまりミトコンドリアの機能が障害されることで、カラダはエネルギー不足になり、疲労感や息切れ、脱毛などさまざまな体調の不調をきたすことになるのです。
5. コロナ後遺症になったときの対処法
では、どうすれば良いのでしょうか?
重要なポイントはACE2とミトコンドリアの機能を回復させることです。
そのために必要なことは、
● 定期的な有酸素運動
● 高強度インターバルトレーニング
● ポリフェノールの多い自然食品
● セージやローズマリー、オレガノ
● ビタミンD
● クルクミン、ケルセチン
● レスベラトロール
● αリポ酸
などが挙げられます。
脳の機能が気になる方はフィッシュオイルも良いでしょう。
ただし、必要な栄養素やその量、運動の強度などは、その方がどの程度障害されているかや、不足している栄養素は何かによって変わってきます。
コロナ後遺症で悩まれている方は、栄養外来を行っているクリニックや病院でサポートしてもらうのが良いでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
まにわクリニックではコロナ後遺症に悩んでいる方のために「栄養療法外来」を行っています。
カラダのどこに、どのような障害をおこしているのか、どのような栄養素が足りないのか、修復し後遺症を治すにはどのような順番で治療を行っていくのかをサポートしております。
興味のある方には無料相談も行っていますので、お気軽にご相談ください。