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2023.09.24

  • 健康

腸活は血管を若くする!?

みなさん、こんにちは。まにわクリニック院長の馬庭です。

医学界でも、世間一般でも腸に注目が集まっています。
腸活に取り組まれている方も多いのではないでしょうか。
技術の進歩により、腸と様々な疾患についての研究が進んでおり、日々情報がアップデートされています。
今回は、腸内細菌と血管老化について、スウェーデンから大規模な研究が発表されたので解説します

1. 背景にあるもの

腸内細菌叢とは、私たちの腸(小腸や大腸で、主には大腸)に住み着いている細菌の群です。
様々な種類の菌が生息しており、その数は100〜1000兆個とも言われています。
私たちのカラダを構成している細胞数が35億個程度と言われていますから、いかにたくさんの菌が腸に住み着いているかがわかります。

これまで腸は栄養を吸収したり、老廃物を便として出すだけの臓器と考えられていました。

しかし、遺伝子解析、代謝物の網羅的な解析方法が開発され、腸、特に腸内細菌と様々な疾患との関係が報告され、注目されています。

なぜ腸内細菌と病気が関係してくるのでしょうか?

機序としては

● 細菌そのものや細菌の断片が腸から体内に侵入して炎症を起こす
● 血管に感染を起こす
● 体内のどこかに感染を起こし、炎症が波及する
● 血管の老化(動脈硬化)を誘発するような代謝物を細菌が作る

などが考えられています。

今回の研究では、腸内細菌と心臓に栄養を送っている動脈(冠動脈)の老化(動脈硬化)を大規模に評価しています。

2. 研究の方法

この研究は8,973人のスウェーデン人のデータが用いられた横断研究となっています。

横断研究というのは、集められた人たちのある一時点でのデータを解析した研究です。

50〜65歳の動脈硬化性疾患(狭心症や脳血管疾患、大動脈疾患など)を持っていない人が対象になっています。

その方々の腸内細菌の遺伝子情報を網羅的に解析しています。

冠動脈の老化はCT検査における石灰化(動脈硬化の1つの指標)、造影剤を用いた血管内腔の狭さで評価されています。

それ以外にも全身の炎症を評価するための血液検査データ、代謝物、唾液中の細菌などが解析されています。

3. 腸内細菌と心臓の血管老化

研究の結果として、腸内細菌のうち64種類が冠動脈の老化と関係性があることがわかりました。
その中でもストレプトコッカス属とオシロバクター属の過剰な増殖が目立っていました。

特にストレプトコッカス種は、全身の炎症、動脈硬化の促進との関連がこれまでも報告されていた菌種です。

今回の研究では、腸内に
Streptococcus anginosus, Streptococcus parasanguinis, Streptococcus gordonii, Rothia mucilaginosa, and Bifidobacterium dentium
などの菌を認めた人たちには、同じ菌が口腔内でも検出されていました。

これは口腔環境が悪いことを意味しています。

そしてそのような菌が腸に住みつき、腸から全身に入ることで血管の老化、冠動脈の老化を進めているのではないかということが推察されています。

4. 私なりの考察

今回の研究では、非常にたくさんの人のデータを用いて、腸内細菌(特にストレプトコッカス種)と、冠動脈の老化を評価したものです。

人種によって腸内細菌叢は異なるため、同じことが日本人にも言えるかどうかは分かりませんが、腸と血管の老化を示したデータとして、大変意味がある研究ではないかと考えています。

もちろんこの人たちが、今後病気になったり、寿命が短くなったりするかどうか、腸内環境を改善させることで、それが改善されるのかを研究していく必要はあります。

なので、今後の研究にも注目していきたいです。

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

箕面・船場・千里中央・吹田・豊中にある まにわクリニックでは、血液検査のみならず、便検査を用いて栄養状態や腸内環境を解析し、栄養サポートを行っております。

自分の腸内環境が心配だ、治療に興味のある方、実際に治療を受けてみたい方など、お気軽にご連絡ください。

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