2023.06.19

• 健康

母親のビタミンB12レベルが子供の身長に影響を与える！？

お母さんのお腹の中にいるときや、生まれてから離乳するまでの間、子供は母親から栄養をもらって成長しています。
もしお母さんの栄養状態が悪ければ、子供の成長はどうなるのでしょうか。
今回はそのような疑問にお答えすべく、ビタミンB12・葉酸と子供の成長について解説します。

1. 妊娠中のビタミンB12レベルは５歳児の身長と関係している

栄養問題による子供の発育障害は、低中所得国の子供の28％、高所得国でも7％に認められると報告されています。

栄養による発育障害はさまざまな要因で起こりますが、母親への介入によって改善できる要素もたくさんあります。

近年、母乳で育てられている乳児の微量栄養素の状態が注目されています。

中でもビタミンB12のレベルが注目されており、ネパールでの研究によると、生後7ヶ月の時点での乳児・母親のビタミンB12の血液濃度を測定したところ、ビタミンB12の濃度が低いほど、子供が5歳になったときの身長が低かったことが報告されています。計算上、母親のビタミンB12摂取量が１μｇ増加するごとに、子供の身長が1.7cmも高いことがわかりました。
もちろんこれをそのまま日本に置き換えることはできませんが、子供の成長に母親のビタミンB12のレベルが大切なことがわかると思います。

2. 妊娠中のビタミンB12レベルが子供の認知機能、発達障害と関連

妊娠中や出生後に母乳で育てる場合、母親のビタミンB12のレベルが、子供の発育に重要な因子となります。

母親の葉酸が欠乏することによって、胎児に神経管閉鎖障害が生じやすくなることがよく知られています。一方、葉酸をしっかりと補充しても、ビタミンB12が低いと神経管閉鎖不全のリスクが高まることはあまり知られていません。

ある研究では、妊娠中に母親のビタミンB12のレベルが低いと、小学生低学年時点での子供の認知検査の成績が悪かったことが報告されています。これは低所得国のみならず、高所得国でも同様の結果が示されており、食事に困らない日本でも同様のことが言えるのではないかと思われます。

また、妊娠中期の母親のビタミンB12濃度が低いと、子供が2歳になったときの精神的・社会的発達の程度が低下することや、子供が7ヶ月の時点でビタミンB12のレベルが低いと、5歳の段階での視覚空間能力や社会的認識の能力が低下することが報告されています。

これ以外にも、ビタミンB12が欠乏している母親から育てられた乳児には以下のような症状が報告されています。

・筋緊張低下
・過敏性、いらつき
・発達遅延
・てんかん
・運動障害
・脳萎縮

できるだけ早い段階でビタミンB12を補充することが重要です。

3. ビタミンB12レベルは妊娠中のトラブルと関係している

ビタミンB12が不足して影響がでるのは、子供だけではありません。
疫学調査によると、妊娠期間中を通して２～３割の妊婦でビタミンB12が欠乏していることが報告されています。

ビタミンB12が欠乏すると、妊娠中の糖尿病、肥満、貧血などのリスクを高める要因となります。

また、葉酸のみ補充してビタミンB12が不足すると、妊娠中の糖尿病、低出生体重児、インスリン抵抗性、子供の肥満のリスクが高まることが報告されています。

お母さんの健康のためにもビタミンB12の補充が重要ですね。

4. では、何をすればいいのか

大事なことは、妊娠する前からご自身のビタミンB12のレベルを知ること、本当に必要なビタミンB12のレベルは、従来の基準よりもはるかに上回っていることを理解することです。

大まかな目安としては、血中のビタミンB12濃度を300pmol/L以上に保つことが重要です。

妊娠を考えられている方は、妊娠前、妊娠中、授乳中を通してビタミンB12サプリメントをご検討下さい。

まにわクリニックでは、あなたの状態を評価するために「サプリメント外来」「栄養療法外来」を行っています。
サプリメント外来では、ビタミンB12や葉酸を使用した回路が回っているかどうかを評価しています。
栄養療法外来では、実際にビタミンB12の体内濃度や利用効率を評価することができる検査を実施しています。

当クリニックでは相談だけなら無料で行っております。お気軽にご相談ください。