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2025.12.19
- 健康
「糖化ストレス」と「酸化ストレス」とは?老化と病気の“根っこ”を断つための医学的アプローチ
みなさまこんにちは
まにわクリニックの院長の馬庭です。
「健康は全てではないが、健康を失えば全てを失う」。
若いうちはなかなか気づかないですが、歳を重ね、社会的に責任ある立場になったり、家族を支える立場になるにつれて、非常に大切なことではないかと思います。
ビジネスにおいてリスクマネジメントが不可欠であるように、私たちの身体にも「見えざるリスク」が存在します。それが、近年医学界で注目されている「糖化ストレス(Glycation Stress)」と「酸化ストレス(Oxidative Stress)」です。
これらは単なる美容の問題ではありません。がん、心臓血管疾患、糖尿病といった生活習慣病、さらにはホルモンバランスの乱れに至るまで、あらゆる不調の根底にある「病気の根っこ」なのです。
今回は、この2つのメカニズムを医学的にわかりやすく解説し、あなたの「10年後の身体」を守るための戦略をご提案します。
オープニング:老化と病気の正体
今回のお話では、私たちが避けて通ることのできない「老化と病気の根っこ」である、糖化と酸化について医学的な視点から紐解いていきます。
結論から申し上げますと、この2つのプロセスを正しく理解しコントロールできるかどうかが、健康寿命を決定づけます。
なぜなら、人が病気になったり、老化していくのには原因があり、その原因をほったらかしにしているから薬漬けになったり、生活の質を落としてしまうからです。
この2つを理解することで、あなたの10年後、20年後のパフォーマンスは劇的に変わります。
糖化ストレス(AGEs)とは何か?身体が「焦げる」メカニズム
まずは「糖化(とうか)」についてです。
糖化ストレスとは、一言で言えば「身体のコゲ」です。
食事で摂取したものの、エネルギーとして使われずに血中に余ってしまった「過剰な糖」。これが体内のタンパク質や脂質と結びつき、熱によって変性することでAGEs(エージーイーズ:終末糖化産物)という悪玉物質が生成されます。
イメージしやすい例を挙げましょう。
● こんがり焼けたホットケーキ
● 焼き目のついたステーキ
● プリンのカラメル
これらは全て「糖とタンパク質や脂質が加熱されて褐色になった状態」、つまり糖化反応(メイラード反応)です。
料理の業界ではメイラード反応が起こることによって香ばしい香りがでてきたり、食材が美味しくなります。
これと同じ現象が、私たちの体温(37度前後)によって、ゆっくりと、しかし確実に体内で進行しているのです。
カラダの中もいい感じに美味しく健康になれば良いのですが、体内でこの反応が起こってしまうと大変なことになります。
しかも、一度できてしまったAGEsはなかなかカラダの外に排泄されず、どんどん溜まってきてしまいます。
血管や臓器への深刻なダメージ
血管や皮膚、臓器の多くはタンパク質と脂質でできています。これらが糖化(コゲ)するとどうなるでしょうか?
● 皮膚: コラーゲンが硬くなり、弾力を失ってシワやたるみ、黄ぐすみの原因になります。
● 血管: 血管壁が硬く脆くなり、動脈硬化のリスクが高まります。
● 臓器: 例えば腎臓は血管の塊のような臓器です。腎臓のろ過機能が低下し、腎障害を引き起こす可能性があります。
実際に、血中のAGEs濃度が高いほど、動脈硬化、糖尿病合併症、さらには認知症のリスクが有意に上昇することが、多くの研究で示唆されています(Diabetes Care 2005, J Clin Endocrinol Metab 2014)。
先にも述べたように、ビジネスにおける「不良債権」のように、AGEsは体内に蓄積され、一度できると分解されにくいという厄介な性質を持っています。それがどんどん蓄積されていくことで、血流が低下したり、臓器の機能が低下して病気になったり、老化が進行していきます。
② 酸化ストレスとは?身体が「サビる」脅威
次に「酸化(さんか)」です。
酸化ストレスとは、身体が「サビる」現象を指します。
私たちは酸素を吸って生きていますが、取り込んだ酸素の一部は、代謝の過程で反応性の高い「活性酸素」に変化します。
通常、体内にはこの活性酸素を消去する「抗酸化力」が備わっています。それは、地球に酸素の濃度が上昇し、生命が酸素を利用するようになってから酸素を使用するときに発生する活性酸素をうまく処理しなければならなかったからです。
しかし、活性酸素の産生が過剰になり、抗酸化力が追いつかなくなるカラダに弊害をもたらします。この過剰に活性酸素がたまった状態を「酸化ストレス」と呼びます。
鉄釘が酸素に触れて赤く錆びていくように、私たちの細胞も酸化によって傷つき、劣化していきます。
酸化ストレスを増幅させる要因
現代人は、非常に多くの酸化リスクに晒されやすい環境にあります。
● 過度なストレス・過労
● 睡眠不足
● 喫煙・多量の飲酒
● 紫外線
● 慢性的な炎症
酸化ストレスは、細胞のDNAを傷つけ、細胞膜を変性させます。これが蓄積することで、老化(エイジング)が加速するだけでなく、がん、心臓疾患、脳卒中といった生命に関わる疾患の大きな要因となります。
実際に、酸化ストレスマーカーが高い状態と動脈硬化の進展には強い相関があることが報告されています(Circulation 2000)。
③ 糖化+酸化=「老化と病気のツートップ」負の連鎖
ここまで「糖化」と「酸化」を個別に見てきましたが、最も恐ろしいのは、この2つが互いに悪影響を及ぼし合う「負のスパイラル」にあります。
「糖化は酸化を呼び、酸化は糖化を加速させる」
1. 糖化によって生じたAGEsが、細胞内の酸化ストレスを増大させます。
2. 酸化ストレスが高まると、今度は糖化反応がさらに促進されます。
この悪循環こそが、老化スピードを加速させ、病気のスイッチを押してしまう元凶です。
● 見た目の老化: 深刻なシワ、シミ、肌の硬化
● 血管の老化: 血管内皮細胞の障害、高血圧、血栓形成
● 脳への影響: 脳内の炎症を引き起こし、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患などのリスク因子に
● がん:DNAを損傷させたり、免疫を担当する細胞の機能が低下することで、がんを発症するリスク因子に
糖尿病、メタボリックシンドローム、認知症、がん。これらは一見異なる病気に見えますが、その根底には、この「糖化ストレス」と「酸化ストレス」の相互作用が存在しているのです
④ 今日からできる「抗糖化・抗酸化」マネジメント
リスクの正体がわかれば、対策(マネジメント)が可能です。
10年後の健康資産を守るために、今日から実践できる具体的なアクションプランをご紹介します。
1. 食後血糖値を急上昇させない(抗糖化)
糖化を防ぐ基本は、血糖値のコントロールです。
● ベジファースト: 食事は「野菜」→「タンパク質(肉・魚)」→「糖質(ご飯・パン)」の順で食べることで、血糖値のスパイクを防ぎます。
● 甘い飲み物を控える: 清涼飲料水に含まれる果糖ブドウ糖液糖は、固形物よりも吸収が早く、急激に血糖値を上げAGEsを作りやすいため注意が必要です。
2. 調理法を変える(抗糖化)
同じ食材でも、調理法によってAGEsの量は変わります。
高温で調理するほどAGEsは増えます。
なので「揚げる・焼く」よりも「蒸す・煮る・茹でる」とすることで、食事から摂取するAGEsを大幅に減らすことができます。
3. 酸化を増やす行動を断捨離する(抗酸化)
● 生活習慣の見直し: 過度な飲酒、喫煙は強力な酸化要因です。また、十分な睡眠は体内の修復機能を高めます。特に深い睡眠を得ることで成長因子が放出され、これがカラダの修復に役立ちます。
● ストレスケア: 慢性的な緊張状態は活性酸素を増やします。マインドフルネスや適度な運動を取り入れましょう。瞑想ができればよいですが、難しければ4:8の呼吸法でもよいです。
4:8の呼吸法とは、4秒かけて息をすい、8秒かけて口からゆっくり息をはく方法です。
4. 「抗酸化食材」を投資として取り入れる
毎日の食事に、サビを防ぐ食材を意識的に「投資」しましょう。
● ビタミンA、C、E: 緑黄色野菜(カボチャ、ブロッコリーなど)、ナッツ類
● ポリフェノール: 緑茶(カテキン)、トマト(リコピン)、ベリー類(アントシアニン)、高カカオチョコレート
1日1つ、これらの食材をメニューに加えることから始めてみてください。
ただし、現代の食材は以前に比べて栄養価が低下しているとの報告もあります。
その点を補う意味で抗酸化を意識したサプリメントの摂取は有効だと考えています。
でもサプリメントは玉石混交です。外から見ただけでは中身に何がどれだけ入っているかわかりません。
内容量、製造方法、品質など信頼のおけるところから購入することをおすすめします。
まにわクリニックで扱っているサプリメントは医療に特化した製品を扱っています。もし興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたでしょうか
「糖化ストレス」と「酸化ストレス」
この2つの概念を理解し、日々の生活で意識することは、これからの自分のカラダへの健康投資をするうえで非常に重要です。
そのためには、まず自分の糖化ストレス、酸化ストレスの状況を確認することが重要です。
まにわクリニックではカラダの糖化ストレスの状況、酸化ストレスによる影響を各種検査にて評価を行い、個々にあった食事、栄養指導を行っております。
「自分の血管年齢や糖化度(AGEsレベル)を知りたい」
「より専門的な抗老化(アンチエイジング)のアドバイスが欲しい」
そうお考えの方は、ぜひ一度当クリニックの「点滴療法外来」、「サプリメント外来」または「栄養療法外来」へご相談ください。
無料の相談も行っておりますのでお気軽にご相談ください
引用文献
1. Goldin A, et al. Advanced glycation end products: sparking the development of diabetic vascular injury. Circulation. 2006;114(6):597-605.
2. Vlassara H, et al. Advanced glycation end products in clinical care. Diabetes Care. 2005;28(12):2968-2974.
3. Goh, S. Y., & Cooper, M. E. (2008). The role of advanced glycation end products in progression and complications of diabetes. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism.
4. Griendling KK, et al. Oxidative stress and cardiovascular disease. Circulation. 2000;102(suppl_4):IV-52-IV-52.




