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2024.10.25
- 健康
失明の原因となる加齢黄斑変性症を予防するには
みなさま、こんにちは
まにわクリニック院長の馬庭です
視力低下や視野異常は、生活をするうえで大きな妨げとなります
日本における失明の原因は①緑内障、②糖尿病性網膜症、③網膜色素変性症、④加齢黄斑変性症
などが挙げられます
高齢化が進み、加齢に伴い増加する加齢黄斑変性症による失明も問題となっています
今回は加齢黄斑変性症をいかに予防するかについて論文データを用いて解説します。
1. 加齢黄斑変性症とは
まずはじめに、加齢黄斑変性症について解説します。
加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう、Age-related Macular Degeneration:AMD)は、視力に関わる網膜の中心部分である黄斑に異常が生じ、視力低下や視野の中心が見えなくなる疾患です。
特に高齢者に多く見られ、加齢が主な要因とされています。
加齢黄斑変性症は2つの病型に分けられます。
● 滲出型
網膜の下に新しい血管(脈絡膜新生血管)が形成されます。新生血管は正常でない場所に発生し、しかももろく破れやすいため、出血や細胞のむくみの原因となります。これが黄斑に障害を起こします。
急速に視力が低下することが多く、視界が歪んだり、暗点(見えない部分)が出現します。
● 萎縮型
黄斑の視細胞や色素上皮細胞が徐々に機能を失い、薄くなり、萎縮していくタイプです。
滲出型より進行がゆっくりで、視力低下も比較的緩やかですが、治療が難しいです。
早期には自覚症状が出にくいものの、最終的には中心視野が失われることがあります。
2. どんな人がなりやすい
加齢黄斑変性症の正確な発生機序は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
要因として挙げられるのが
● 遺伝的な要因
加齢黄斑変性症のリスクを高める遺伝子変異が特定されています。
● 加齢
加齢によって網膜の代謝機能が低下し、老廃物が蓄積することで黄斑に障害を起こしやすくします。
● 喫煙
喫煙者は強力なリスク因子として知られています。
● 紫外線
紫外線の暴露によって酸化ストレスが過剰に発生し、網膜の細胞にダメージを与えることが考えられます。
● 肥満
肥満はカラダに炎症を起こします。炎症は老化の原因となります。また炎症によって酸化ストレスが増大し、これが網膜の細胞にダメージを与えることが考えられます。
3. 治療法、予防法はあるのか
病型によって治療法は異なります。
滲出型の場合は新しい血管の新生を抑える薬剤(抗VEGF薬)などが使用されます。
それ以外にもレーザー治療や光線力学療法なども使用されます。
萎縮型の場合、現時点では有効な治療方法は確立されていません。
進行を遅らせる可能性があるとして、ビタミンCやE、亜鉛、ルテイン/ゼアキサンチン/ビタミンAなどが使用されます。
4. メトホルミンの効能
なかなか治療法のない萎縮型の加齢黄斑変性症ですが、2024年3月にアメリカから発表された研究があります(Investigative Ophthalmology & Visual Science March 2024, Vol.65, 23)。
そこで評価されたのが糖尿病で使用される「メトホルミン」と呼ばれる治療薬です。
古くからある薬で、近年ではアンチエイジング効果が期待されて糖尿病ではない方が服用される場合もあります(保険はきかないので自費診療としてですが)。
この研究では60歳以上の加齢黄斑変性症を有する10,505人と加齢黄斑変性症を有さない10,502人のデータを用いて、メトホルミンの萎縮型加齢黄斑変性症の発症抑制効果が検討されています。
結果、メトホルミンを使用している人の方が加齢黄斑変性症の発生率を12%低いことがわかりました。
さらに、糖尿病でない方に限ってデータを解析すると、メトホルミンは47%も萎縮型加齢黄斑変性症の発症リスクを下げることがわかりました。
有効な治療法がない疾患だからこそ、この結果は非常に有用ではないかと考えられます。
5. まにわクリニックからの提案
この論文のデータでは、1人の萎縮型加齢黄斑変性症を減らすには355人に対してメトホルミンを投与する必要があります。
もちろんこれは十分な効果とは言えません。
でも、治療法がない疾患である場合、できることをより多く取り入れ、なるべく発症させない努力をしていくことが重要であると考えています。
メトホルミンが効いた正確な機序は完全には解明されていませんが、メトホルミンが有する抗酸化ストレス、抗炎症効果がリスク低減に関与している可能性があります。
酸化ストレスも炎症も老化を引き起こす主要な要因ですので、ここをいかに抑え込むがが大切ではないでしょうか。
そのためにはビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、クルクミン、ケルセチン、ベルベリン、亜鉛、ビタミンDなどの抗炎症、抗酸化物質をしっかりと充足させる必要があると思います。
基礎となる食事を見直すことも重要ですし、どうしても足りないところは良質なサプリメントを使用するのもよいのではないでしょうか。
巷にはいろいろなサプリメントが売られています。中には品質が悪いもの、中身がすくないもの、記載通り含まれていないものも存在します。
外からの見た目では何が入っているかわからないものだからこそ、信頼のおける商品を取り入れることをおすすめします。
当院では医療機関でしか購入できない安全性、有効性の高いサプリメントの影響をおこなっております。
また、酸化ストレス、抗酸化力(酸化ストレスに打ち勝つ力)を測定する検査も提供しております。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
まにわクリニックでは、血液検査や病歴などを評価しながら、その方にあった栄養サポート、サプリメントのご提案などを行っております。気になるかたは一度ご相談ください。