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2024.02.10
- 健康
カルシウムサプリの使用が寿命を縮める!?
みなさん、こんにちは。
まにわクリニック院長の馬庭です。
骨密度が気になるからカルシウムを積極的にとるようにしている方も多いのではないでしょうか
でも、それが実はカラダに悪いとしたら・・・
今回は最近発表されたカルシウムサプリと心臓病の関係について解説します。
1. カルシウムの重要性
「カルシウム」と聞いてまず思いつくのは
骨
ではないでしょうか。
体内には約1kgのカルシウムが存在し、その99%は骨に蓄えられています。
しかし、カルシウムの働きは骨を丈夫にするだけではありません。
残りの1%は血液中や血管の外(細胞外液)、細胞の中に存在し、さまざまな役割を担っています。
その1つは細胞に刺激を与えるスイッチの役割です。
例えば筋細胞に刺激が伝わってきた場合、細胞の中のカルシウム濃度が上昇し、それが刺激となって細胞は興奮して筋肉が縮みます。
体内にカルシウムがあるおかげで、脂質の代謝、インスリン(血糖をさげるホルモン)の分泌、体重のコントロールなどがなされています(Institute of Medicine Committee to Review Dietary Reference Intakes for Vitamin D. Calcium. In Dietary Reference Intakes for Calcium and Vitamin D. Ross AC, et al. Washington, DC, National Academies Press)。
それ以外にもカラダの酸塩基平衡(酸性とアルカリ性のバランス)を保つためにも使用されています。
そう、健康を維持するためには確かにカルシウムを充足させることは重要です。
2. カルシウムサプリには弊害もある
ただし、懸念点も指摘されています。
特にカルシウムをサプリメントで補う場合の弊害が指摘されています。
食事からカルシウムを補給した場合、1日800mgを摂取する人と1日2000mg摂取する人で比較しても血液中のカルシウム濃度に変化は認めなかったとの報告がある一方(Spiegel DM,et al. Kidney Int 2012;81:1116–1122)、サプリメントでカルシウムを補った場合、1日500mgもしくは1500mgと投与量を変えて服用したいずれの場合でも、著明に血液中のカルシウム濃度が上昇し、かつそれが服用後8時間以上経過しても上昇がつづいていたとの報告があります(Bristow SM, et al. Br J Nutr 2015;113:1585–1594)。
血液中のカルシウム濃度が上昇しすぎた場合、血栓(血の塊)が血管内に出来てしまったり、血管の石灰化(血管が石のように硬くなる)をつくる原因となります。
このような変化が血管の老化をすすめ、心筋梗塞や脳卒中などの血管病を作り出してしまうのです。
3. 糖尿病の方がカルシウムサプリを服用しつづけると・・・
今回ご紹介する論文は2023年の7月に掲載されたイギリスのコホート研究から得られた結果です(Diabetes Care 2024;47(2):199–207)。
UKバイオバンクに登録されている434,374名のデータを解析し、日常的にカルシウムサプリを服用している人と、そうでない人について、11年間の経過のなかで心臓血管死のリスクがどの程度違うかが検討されています。
結果として、糖尿病でない方に関してはカルシウムサプリメントの服用の有無と、心臓血管死とには違いは認められませんでした。
しかし、糖尿病を有する人のみで解析を行ったところ、
カルシウムサプリを服用している人のほうが、
● 心臓血管病に罹患するリスクが34%、
● 心臓血管死にいたるリスクが67%増加
することがわかりました。
4. 私の考え
糖尿病患者ではカルシウムの恒常姓(内部環境を一定に保とうとする力)が低下していることが報告されており、そのような方に血中濃度が上昇しやすいカルシウムサプリを服用することで、弊害が起きやすいことを示したデータだと考えています。
カルシウムだけを摂取しても、骨は丈夫にはなりません。マグネシウムを含めた他のミネラルの充足、コラーゲンを生成させるためのタンパク質やビタミンCの充足、酸化ストレスや糖化ストレスを抑えるための食生活など、総合的なアプローチが必要です。
もしカルシウムの補給を考えている場合、まずは食事から摂取するほうが、効果的かつ安全です。
自分のカラダはカルシウムが足りているのだろうか?
と心配なかたは、一度カラダのバランスをチェックするのもおすすめです。
いかがでしたでしょうか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
まにわクリニックでは、血液検査やさまざまなバイオロジカル検査を用いてあなたの状態をチェックし、栄養サポート、サプリメントのご提案などを行っております。気になるかたは一度ご相談ください。
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