Blog Detail
健康ブログ詳細
2024.01.26
- 健康
新型コロナ感染で日本人4000万人に心臓病リスクが増大!?
みなさん、こんにちは。まにわクリニック院長の馬庭です。
長いコロナ禍があけ、日常が戻りつつあります。
これまでに新型コロナウイルスに罹患した方は、日本で約4000万人存在することが予測されています。
そんな中、理研・京大から衝撃的な研究結果が発表されました。
新型コロナウイルスに罹患することで、心臓の細胞にウイルスが入り込み、その後も細胞の中に潜み、将来の心不全のリスクを上げる可能性があると報告されたのです。
今回はその研究について解説します。
1. 心臓病の人の心臓で起こっていること
心臓は1日に約10万回拍動し、血液を吸い上げては全身に送り込んでいる臓器です。
何らかの原因で心臓にトラブルが発生すると、血液を全身に送り出す力が低下し「心不全」と呼ばれる状態になります。
このように心臓にトラブルが起きた状態の総称を心臓病(心疾患)と呼んでいます。
心臓病のせいで心不全に至ると、血液成分は心臓の手前に溜まりやすくなります。
その1つが「肺」です。
肺がむくむため
● 息切れ
● 寝ている時に呼吸が苦しくなる
● 息切れで夜中目覚める
● 倦怠感
● 咳、痰
などの症状を呈することにないます。
また、手足などの血液成分が心臓に返りにくくなるため
● 手足がむくむ
● お腹がふくれる
● 食欲がわかない
などの症状も出現してきます。
では、心臓病を有する人の心臓の内部ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
何も原因がなくて、突然心臓の筋肉が障害されることはありません。
多くの場合、心筋細胞(心臓の筋肉細胞)に酸化ストレス(カラダが錆びる反応)が過剰に加わり、障害が始まります。
酸化ストレスが過剰に加わると、
① 心筋細胞で炎症が発生
② ミトコンドリアが障害され、エネルギーの通貨であるATPの産生が低下
が生じてしまい、心筋細胞の損傷→心機能低下→心臓病へと発展していきます。
2. 新型コロナウイルスの通り道
新型コロナが体内に侵入するためには、細胞の表面に存在する「ACE2受容体」と呼ばれる通り道を通過する必要があります。
このACE2受容体は全身に存在していますが、特に心臓や血管、肺や気管支などの呼吸器系、腸、排泄器官、生殖系に多く分布していることが知られています。
そう、新型コロナに罹患すると喉や咳、痰が多いのは呼吸器系にコロナの入り口が多いからなのです。
心臓にもACE2は豊富に存在しているため、一度新型コロナウイルスが体内に侵入してしまうと、心臓の細胞内にも入り込んでしまいます。
心臓に強い感染を起こした場合は、感染から日を追うごとに心臓の機能は低下してしまいます。元気だった人が急に悪化してしまうのは、これも一因であると考えられています。
3. 新型コロナウイルスが将来の心不全リスクを増大!?
今回ご紹介する発表は2023年12月22日にiScienceに掲載された研究結果です(iScience 2024;27:108641.)。
iPS細胞を用いてヒトの心臓に近いものを作り出し、それに新型コロナウイルスを感染させ、その後の心臓機能を観察しています。
強い感染を起こした場合は、日に日に心臓の機能が低下しています。
一方軽度から中等度の感染にとどまった心臓の細胞は、一時的に心臓機能は低下したものの、その後回復していました。
ところが、一見正常にもどった心臓の細胞の中に、新型コロナウイルスが潜んでおり持続感染が続いていました。
そこで、新型コロナウイルスに持続感染している心臓細胞と新型コロナウイルスに罹患していない心臓の細胞とを比較する研究が行われました。
いずれの細胞にも一定期間、酸素濃度を低くしてストレスをかけたところ、新型コロナウイルスに罹患していない心臓の細胞は2日程度で機能が改善した一方で、新型コロナウイルスに持続感染している心臓の細胞は、酸素の濃度を正常に戻した後も心臓機能がさらに悪化してしまいました。
考えられる機序としては、
①低酸素などのストレスによって心臓の細胞のACE2受容体が増加
②心筋細胞内に存在している新型コロナウイルスの活動が再度活性化
③心臓内に張り巡らされている血管網が障害
などによって障害がどんどん悪化していくことが考えられています。
この研究から考えられることとして、
● 新型コロナウイルスに感染することで、見かけ上心臓にダメージを追っていない人たちの中にはウイルス心臓に持続感染している可能性がある
● そのような方が生活を送る過程で心臓に負担がかかるようなトラブル(高血圧、狭心症・心筋梗塞、不整脈など)が生じると、それをきっかけとして一気に心臓の機能が障害されうる
● それが心不全を引き起こし、最悪寿命を縮めてしまう
ということです。
日本ではすでに約4000万人以上の方が新型コロナウイルスに感染していると言われており、そのすべての方がリスク対象者となるということです。
4. ではどうすればいいのか
持続感染しているウイルスの排除方法は明らかになっていませんが、以下に心臓に酸化ストレスを与えないかが重要ではないかと考えます。
酸化ストレスをかける要因としては
● 高血圧
● 高血糖
● 炎症
● 有害重金属の蓄積
をいかに抑えるか、その先に生じうる狭心症や心筋梗塞、不整脈をいかに起こさせないかが重要であると考えています。
そのためには生活習慣の見直し、デトックスのできるカラダ作り、抗酸化力をつけるためのカラダ作りが大切であると考えます。
まずは、今自分の状態がどうなっているのか、食後高血糖はないか、炎症は潜んでいないか、酸化ストレスの強さや抗酸化力はどの程度あるのか、重金属はどれくらい蓄積し、どれくらいそれを排泄できる力があるのかを知る必要があります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
まにわクリニックでは血液検査やバイオロジカル検査を用いて、患者様の状態を詳しく把握し、個々にあった治療、アドバイスを行っています。
無料相談も行っております。ご興味のあるかたは、ぜひ栄養外来、点滴療法外来にご来院いただければと思います。