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2023.08.16
- 健康
すごいぞ!ビタミンC
みなさん、こんにちは。
まにわクリニック院長の馬庭です。
風邪をひいたらビタミンCを摂ると良くなる
昔からよくこのような話を聞きますよね。
はたして本当なのか!?
今回は、ビタミンCの効能について、データを交えながら解説します。
1. ビタミンCとは?
ビタミンCはヒトの体内では合成することのできない栄養素です。
遡ること大航海時代、長期間の船上生活のためにビタミンCが不足し、壊血病という病気(歯茎、皮膚、粘膜などから出血したり、免疫力が低下し、死にいたる病気)で多数の船員が亡くなったことがきっかけで発見されたビタミンです。
欠乏にならないために1日100mgのビタミンC(レモン約1個分)を摂取するように厚労省が提示しています。
では、これ以上のビタミンCの摂取は無意味なのでしょうか?
2. ビタミンCの役割とは?
ビタミンCにはさまざまな役割があることが報告されています。
● コラーゲンなどのタンパク質の合成
● 特定の脳内ホルモンの合成
● 副腎ホルモンの合成
● 抗酸化作用(カラダをさび付かせない)
● 免疫機能の強化
● 腸からの鉄の吸収
● 動脈硬化の不安定化を防ぐ
● 血管を拡張させる
● がん細胞を死滅させる(高濃度の場合)
体内でのビタミンC濃度は、臓器によって異なります。濃度が高い臓器ほど、ビタミンCの需要が高い臓器といえます。そして、体内に吸収されたビタミンCは濃度の高い臓器から優先的に使用されます。カラダの中で一番濃度が高いのが白血球(免疫の番人)です。つまり、白血球のビタミンC濃度が十分でないと、脳や副腎、皮膚にはビタミンCは供給されないのです。厚労省の摂取基準は、健康体でストレスもかかっていない人に必要な最低限の量となっており、ビタミンCが持つさまざまな効果を得るには、全く足りていないのです。
ビタミンCには、血液の濃度によってカラダに与える効果が異なることもわかっており、その一例ががん細胞に対する効果です。ビタミンCの血中濃度を非常に高く(400mg/dl)にすることで、がん細胞が死滅することが報告されています。
3. 疲労に対するビタミンCの効果
20〜40代のオフィス勤務者141人に対して行われた韓国の研究によると、高濃度ビタミンC点滴10gを投与すると、プラセボに比較して2時間後、24時間後の疲労スコアが有意に改善したことが報告されています。(Eur Arch Otorhinolaryngol 2013;270:2631-6.)
疲労に対する高濃度ビタミンC点滴療法の機序はさまざま考えられますが、一つはビタミンCがもつ抗酸化力と考えられます。
慢性疲労を有する患者様には酸化ストレスが高いことが報告されています。
ストレスがかかると、副腎皮質という臓器からコルチゾールと呼ばれる抗ストレスホルモンが分泌されます。酸化ストレスがかかっていると副腎への命令系統に負担がかかり、コルチゾールを十分に分泌できなくなってしまいます。
ビタミンCにはこれを解消する効果があります。
4. ビタミンCと風邪
日本を含めさまざまな国で風邪に対するビタミンCの有効性が報告されています。フランスのクリニックで行われた研究によると、風邪で来院した患者様に対して、偽薬もしくはビタミンC1000mg+亜鉛10mgを5日間投与し、症状の改善速度を比較した研究が報告されています。結果的に、ビタミンCと亜鉛を投与した方が改善する速度が早いことが認められています(J Intern Med Res 2012;40:28-42.)。
これは風邪に限らず、新型コロナでも同様のことがいえます。国際オーソモレキュラー医学会は、コロナの発症予防ならびに重症化予防のために以下の内容をサプリで補充するように提言しています。
1. ビタミンC 1日3g以上
2. ビタミンD 1日2000IU(最初の2週は5000IUで開始し、3週目から2000IUに減量)
3. 亜鉛 1日20mg
4. マグネシウム 1日400mg
5. セレン 1日100μg
5. 帯状疱疹とビタミンC
ドイツ人を対象とした研究では、帯状疱疹を罹患した患者様に高濃度ビタミンC点滴療法(7.5gを週に2〜4回、2週間)を行うことで、従来治療を行った患者と比べ、3倍近く痛みや出血性水疱が著明に改善するケースが多いことが報告されています(Med Sci Monit 2012;18:CR215-224.)。
帯状疱疹の後遺症として感染後の長期にわたる神経痛が有名ですが、その発症頻度も4分の1に軽減されたと報告されています。
帯状疱疹ウイルスに感染することで、大量に活性酸素が発生します。この時、体内に貯蓄されているビタミンCは一気に消費してしまいます。
元々体内のビタミンCが不足していると、大量に発生する活性酸素に対処しきれず、症状が長引いたり、後遺症を残すことになります。
高濃度ビタミンC点滴療法を行うことで、体の隅々までビタミンCを補い、症状の早期改善や後遺症の軽減につながるものと考えられます。
6. ガンと高濃度ビタミンC
ヒトやマウスの実験により、高濃度のビタミンCは、正常なヒトの細胞には障害を与えずに、がん細胞のみ障害を与えることが示されています。
ビタミンCが体内に入ると、フェントン反応によって過酸化水素が発生します。
正常なヒトの細胞にはカタラーゼと呼ばれる酵素が豊富に存在し、発生した過酸化水素を無毒化します。
一方がん細胞にはこのカタラーゼが少ないことがわかっており、がん細胞内でも過酸化水素が分解されず、DNA合成の障害、解糖系(エネルギーを作る回路)の障害、ミトコンドリアの障害を引き起こし、がん細胞内にエネルギー不足を生じさせることで、がん細胞のみを選択的に死滅させることがわかっています。
実際に、ビタミンCが造血幹細胞に蓄積することで、TET2遺伝子の機能を促進し、白血病の発症を抑制することが、世界的に権威のある医学雑誌「ネイチャー」に掲載されています(Nature 2017;459:476-81.)。
また、高濃度ビタミンC点滴療法によって
● 白血病(Cell 2017;170:1079-95.)
● 乳がん(In Vivo 2011;25:983-90.)
● 膵臓がん(Cancer Chemother Pharmacol 2013;71:765-75.)
● 卵巣がん(Sci Transl Med 2014;6:222ra18)
などさまざまな悪性腫瘍の発育を抑制、減少させることが多数報告されています。
また、抗がん剤治療に高濃度ビタミンC点滴療法を併用することで、抗がん剤の効果を増強したり副作用を軽減することが、さまざまな悪性腫瘍で報告されています。
抗がん剤の治療を行う上で、副作用の頻度や強度が治療継続できるかどうかの大きな要因となります。
つまり、悪性腫瘍に対する標準治療を行う上で、高濃度ビタミンC点滴療法は非常に有効な支持療法となるのです。
さらに、さまざまな種類のがん患者に対して、高濃度ビタミンC点滴療法を行うことで、全般的な健康度、疲労感、痛み、不眠などのスコアが有意に改善し、結果としてがんと戦いながらも仕事を継続することができることが日本からも報告されています(Personalized Medicine Universe 2012;1:49-53.)。
このような効果が期待できることから、2016年に点滴療法研究会が主導となって行われた医師・歯科医師の意識調査で、
9割の医師・歯科医師が「もし自分ががんになった場合に、手術・放射線療法・化学療法などの標準治療以外の治療を受ける」と回答しており、
その内7割が「高濃度ビタミン C点滴療法を受ける」と回答しています。
普段からがん患者に向き合っている医師も受けたいと思っている治療であることがお分かりになると思います。
7. 飲むサプリと点滴で違いはあるのか?
クリニックでは、高濃度のビタミンCを点滴で投与することができます。
なかにはサプリを大量に摂れば、わざわざ点滴しなくてもいいのでは?と思われる方もいらっしゃるかとと思います。
でも、点滴と内服では効果が全く異なるのです。
下の図はビタミンCをサプリで内服した時と、点滴した時の血液中のビタミンCの濃度の違いです。
サプリで高容量内服しても血中濃度は220μmol/Lで頭打ちになります。
しかし点滴の場合は容量を上げるほど、血中濃度も高くなります。
つまり、短期間で効果を得る場合や、がん細胞を死滅させるくらいの高濃度を達成するためには点滴でなければ得られないということです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
箕面・船場にある まにわクリニックでは、「サプリメント外来」「点滴療法外来」「栄養療法外来」にてビタミンCのサプリメントや点滴をはじめ、あなたに必要な栄養素を判断し、提供を行っています。
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